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案内を変えて終わりにしない。公務員の仕事に活かす効果の確かめ方

案内文を短くした、申込みの手順を見直した。そうした工夫をしたとき、「分かりやすくなったはず」で終わらせず、実際にどう変わったかまで確かめられたら、次の改善にもつながります。公務員の仕事を振り返るうえでも、大切にしたい視点です。

環境省は9月16日、2017年度から2025年度までの9年間に行った45のナッジ実証事業を取りまとめ、公表しました。新しい制度が始まったというニュースではなく、これまでの実証を整理し、施策に活かすための資料です。

「知っているのに行動できない」を考える

ナッジは、選択の自由を保ちながら、自発的な行動を後押しする手法です。環境省の資料では、行動を妨げている要因を見つけ、それに合う方法を選び、具体的な場面に合わせて設計する流れを示しています。

私が気になったのは、最初に「何が行動を妨げているのか」を考える点です。お知らせが読まれないからといって、情報を増やせばよいとは限りません。必要性は分かっていても準備に手間がかかる、申し込もうと思ったときに受付先が見つからない。そんな可能性も考えられます。

ここからは、この資料を日々の行政の仕事に引き寄せて考えてみます。脱炭素分野の実証で得られた効果が、別の業務でもそのまま出ると考えるのではなく、課題の見つけ方と確かめ方を参考にしたいと思います。

何を変えたいのかを、先に決めておく

たとえば、講座の案内を見直す場面を想像してみます。これは実際の事例ではありませんが、「参加者を増やしたい」だけでは、どこを直すか決めにくいはずです。

案内自体が届いていないのか、内容に関心を持たれていないのか、申込みの途中で困るのか。申込みまで進んでも、開催日時が合わないのかもしれません。つまずく場所が違えば、必要な対応も違います。

もし申込み手順を見直すなら、まずは手続きに関する問い合わせの内容や件数など、確認できる情報を選びます。何を見れば改善を判断できるかを先に決めると、「とりあえず文章を直した」という状態から進みやすくなると思います。

数字が増えた理由は、ひとつとは限らない

概要版では、ランダム化比較試験や自然実験を用いた135件の実証を分析しています。単に実施前後の数字を並べるだけでなく、比較によって効果を確かめようとしている点に注目したいところです。

先ほどの講座の例でも、申込者が増えた理由が案内文とは限りません。テーマが変わった、開催時間が変わった、広報する場所が増えた。ほかの変化もあれば、それを一緒に記録しておく必要があります。

すべての仕事で厳密な実験ができるわけではありません。それでも、「案内の変更後に申込みが増えた」と「案内の変更によって申込みが増えた」は分けて書けます。原因まで確かめられていないときは、そのまま残した方が、次に何を調べるかが見えてきます。

効果を見るときには、件数だけでなく、利用する人が困っていないかも気になります。申込みが増えても、条件を誤解した人が増えていたら、案内にはまだ直すところがあります。数値と問い合わせ内容の両方から考えたいですね。

うまくいかなかった結果も、経験になる

改善の経験を伝えるなら、何を課題と考え、どんな理由で方法を選び、何を見て判断したのか。私は、この流れを説明できることにも価値があると思います。

期待した変化が出なかったとしても、そこで理由を考え直した経験は残ります。成果を大きく見せるために数字を補うより、判断したことと分からなかったことを具体的に話せる方が、自分の仕事を伝えやすくなります。

まずは、最近見直した業務をひとつ思い出して、「何が変われば改善したと言えるか」を一文にしてみる。その問いがあるだけで、これから集める情報や、同僚に相談する内容も変わるのではないでしょうか。

初公開・参考情報の確認:2026年9月18日(環境省発表:2026年9月16日)

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